#japanesecalligraphy
#shodo #書道
#shoyu #書遊

Share On|
  • English
  • 日本語
  • 墨の原料と種類

    コラム, 道具の話, ,

    墨の原料

    墨は、「煤(すす)」、「膠(にかわ)」、「香料」の3つの原料から作られます。
    煤と溶かした膠を練り合わせたのち、香料を入れ、木型に入れて乾燥させたものが固形墨です。

    煤について

    煤には油煙・松煙・改良煤煙の3種類があり、その煤から作られる墨をそれぞれ「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」と呼びます。

    ・油煙…菜種油などの植物油を燃やしてできた煤のこと。
    ・松煙…松の枝や皮を燃やしてできた煤のこと。
    ・改良煤煙…鉱物油・カーボンブラックなどを燃やしてできた煤のこと。

    煤

    膠について

    膠とは、牛皮・馬皮・鹿皮のニベ(外皮と肉質との中間にある結合組織)や骨などを煮詰めてコラーゲンなどのタンパク質を抽出し、それらを乾燥させたものです。
    墨を作る際は、膠を湯煎で溶かして使用します。
    膠には、墨の製造過程において粉末の煤を固める役割があり、磨った墨においては紙の上で煤を安定させる役割があります。

    膠

    香料について

    膠の独特の臭いを消すために香料を使います。この香料は、墨の磨り手の心を落ち着かせる副次効果もあります。
    龍脳(りゅうのう)、麝香(じゃこう)が代表的です。

    香料

    墨の種類

    墨は煤の種類によって「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」に分けられます。

    ■油煙墨とは

    菜種油、胡麻油、桐油、椿油などの植物油を土器に入れ、藺草(いぐさ)で作る灯芯に火をともし、土器の覆いをかぶせてその内側についた煤を集めて採煙を行います。
    松煙墨の煤は、粒子が細かく均一なのが特徴で、この煤を溶かした膠と混ぜて練り合わせ、香料を入れ、木型に入れて乾燥させて作ります。
    墨は中国から伝わったものですが、油煙墨は日本が先駆けて開発した墨だと言われ、現在も優れた油煙墨が製造されています。

    油煙墨を製造するメーカーのひとつ、奈良にある『古梅園』では日本で唯一「煤採り」から油煙墨を製造しています。

    特集記事「墨造り一筋 昔ながらの製法の古梅園」はこちら>>

    ― 油煙墨の特徴 ―

    松煙墨とは異なり、墨の磨り口に光沢があり、濃墨では黒色ですが、淡墨では赤味を帯びた茶系となります。
    油煙墨は不純混合物がほとんどなく、粒子が細かく均一で普通濃度~濃墨に適しています。
    粒子が細かなため、硯あたりはなめらかで、磨り口には光沢があり、良質な油煙墨であるほどこの光沢が強くなります。
    墨色に関しては下記のような特徴があります。

    良質な油煙墨 品質が劣る油煙墨
     濃墨  つやと深みのある漆黒で、奥行きのある墨色。 深みのある黒色を放たない、赤茶けたものや白茶けた墨色。
     淡墨  薄茶に紫味や青味を含んだ墨色。
    きめ細やかなにじみの立体感が得られる。
    (使用した植物油の種類によって色味が異なる)
    きめが粗く立体感がない。

    ■松煙墨とは

    松煙墨には「いきまつ松煙」と「おちまつ松煙」があります。
    「いきまつ松煙」は生松の幹を削ってにじみ出た松ヤニからできた煤で造る墨で、「おちまつ松煙」は松ヤニを多く含んだ枯木からできた煤で造る墨という違いがあり、松煙墨の採煙は、松ヤニの出る部分を小割りにして乾燥させた後、部屋の中で燃やして、壁や天井についた煤を集めて採煙を行います。
    この煤を溶かした膠と混ぜて練り合わせ、香料を入れ、木型に入れて乾燥させて造ります。
    この製法は中国で開発された最も古い製法として古の日本に伝わりました。

    現在は油煙墨が主流となることに加え、良質な松が減少していることから、松煙墨は貴重品として扱われています。

    ― 松煙墨の特徴 ―

    油煙墨とは異なり、墨の磨り口に光沢がなく、古くなるほど黒系から青系に変化していくといわれており、均一でない粒子の煤が淡墨を美しく表現します。
    濃墨では落ち着きのある艶を感じさせない墨色、淡墨では透明感のある美しい墨色が楽しめます。
    松煙墨は古筆の臨書や水墨画などの背景に用いると良い効果が得られるといわれています。

    ■改良煤煙墨とは

    改良煤煙墨は、洋墨煙と呼ばれ、鉱物油・カーボンブラックなどを原料としています。
    比較的実用墨や普及品に多く使用され、松煙墨や油煙墨と比較すると“早く黒くなる”のが特徴ですが、墨本来の「墨は七色に光る」が味わえないところだといえるでしょう。
    改良煤煙墨が松煙墨や油煙墨に劣るというものの、筆や硯の道具を長持ちさせるためには、墨液よりも改良煤煙墨の使用をお薦めします。

    書遊Onlineで人気の油煙墨

    梅花墨

    1. 梅花墨 大 3.0丁型(古梅園)

    菜種油を使った最も粒子の細かい最上級の油煙墨です。 重量感があり、濃墨では純黒、淡墨では薄い紫色を含む黒です。 のびが良く、漢字・かな作品用に最適です。

    商品ページを見る
    金神仙

    2. 金神仙 1.5丁型(古梅園)

    菜種油を使った最上級の油煙です。濃墨ですと艶のある純黒で、淡墨ですと茶系の黒です。漢字作品用・かな書・写経などに適しています。

    商品ページを見る
    紅花墨

    3. 五星 紅花墨 5.0丁型(古梅園)

    菜種油を使った油煙墨で、非常にのびが良いのが特徴です。 濃墨ですと絵具に近いような美しい黒、淡墨ですと灰色がかった色です。

    商品ページを見る

    書遊Onlineで人気の青墨・松煙墨

    利久

    1. 利久 1.5丁型(日本製墨)

    当社製造の他墨の青墨煙に植物性藍を混合し、より青味を加えた松煙墨。書家・画家の好みを生かして調整した極上濃青墨です。

    商品ページを見る
    青龍胎

    2. 青龍胎 1.5丁型(墨運堂)

    塗り重ねができて光らず、濃淡が自在に表現でき、奥行が深く、墨色に距離感のある立体的な画に適しています。 絵手紙や水墨画の練習用におすすめです。

    商品ページを見る
    蓬莱

    3. 蓬莱 2.0丁型(古梅園)

    400有余年にわたる墨作りを通して開発された青墨に向く油煙で作られた、煤だけの色の青墨です。淡墨では灰色がやや強く、青みのかかった色で、どんよりとした重さが感じられ、水墨画・俳画などに適しています。

    商品ページを見る

    まとめ

    墨の原料と種類についてご紹介いたしました。
    墨は、「煤(すす)」、「膠(にかわ)」、「香料」の3つの原料から作られ、煤の種類によって「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」に分けられます。
    それぞれ墨色に特徴がありますので、作りたい作品に合わせて種類をお選びくださいませ。

    書遊Onlineでご紹介している『墨』はこちら»

    関連記事

    Related Article List