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  • 墨の原料と種類

    墨の原料と種類

    墨の原料

    墨は、「煤(すす)」、「膠(にかわ)」、「香料」の3つの原料から作られます。
    煤と溶かした膠を練り合わせたのち、香料を入れ、木型に入れて乾燥させたものが固形墨です。

    煤について

    煤には油煙・松煙・改良煤煙の3種類があり、その煤から作られる墨をそれぞれ「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」と呼びます。

    ・油煙…菜種油などの植物油を燃やしてできた煤のこと。
    ・松煙…松の枝や皮を燃やしてできた煤のこと。
    ・改良煤煙…鉱物油・カーボンブラックなどを燃やしてできた煤のこと。

    煤

    膠について

    膠とは、牛皮・馬皮・鹿皮のニベ(外皮と肉質との中間にある結合組織)や骨などを煮詰めてコラーゲンなどのタンパク質を抽出し、それらを乾燥させたものです。
    墨を作る際は、膠を湯煎で溶かして使用します。
    膠には、墨の製造過程において粉末の煤を固める役割があり、磨った墨においては紙の上で煤を安定させる役割があります。

    膠

    香料について

    膠の独特の臭いを消すために香料を使います。この香料は、墨の磨り手の心を落ち着かせる副次効果もあります。
    龍脳(りゅうのう)、麝香(じゃこう)が代表的です。

    香料

    墨の種類

    墨は煤の種類によって「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」に分けられます。

    ■油煙墨とは

    菜種油、胡麻油、桐油、椿油などの植物油を土器に入れ、藺草(いぐさ)で作る灯芯に火をともし、土器の覆いをかぶせてその内側についた煤を集めて採煙を行います。
    松煙墨の煤は、粒子が細かく均一なのが特徴で、この煤を溶かした膠と混ぜて練り合わせ、香料を入れ、木型に入れて乾燥させて作ります。
    墨は中国から伝わったものですが、油煙墨は日本が先駆けて開発した墨だと言われ、現在も優れた油煙墨が製造されています。

    油煙墨を製造するメーカーのひとつ、奈良にある『古梅園』では日本で唯一「煤採り」から油煙墨を製造しています。

    特集記事「墨造り一筋 昔ながらの製法の古梅園」はこちら>>

    ― 油煙墨の特徴 ―

    松煙墨とは異なり、墨の磨り口に光沢があり、濃墨では黒色ですが、淡墨では赤味を帯びた茶系となります。
    油煙墨は不純混合物がほとんどなく、粒子が細かく均一で普通濃度~濃墨に適しています。
    粒子が細かなため、硯あたりはなめらかで、磨り口には光沢があり、良質な油煙墨であるほどこの光沢が強くなります。
    墨色に関しては下記のような特徴があります。

    良質な油煙墨 品質が劣る油煙墨
     濃墨  つやと深みのある漆黒で、奥行きのある墨色。 深みのある黒色を放たない、赤茶けたものや白茶けた墨色。
     淡墨  薄茶に紫味や青味を含んだ墨色。
    きめ細やかなにじみの立体感が得られる。
    (使用した植物油の種類によって色味が異なる)
    きめが粗く立体感がない。

    ■松煙墨とは

    松煙墨には「いきまつ松煙」と「おちまつ松煙」があります。
    「いきまつ松煙」は生松の幹を削ってにじみ出た松ヤニからできた煤で造る墨で、「おちまつ松煙」は松ヤニを多く含んだ枯木からできた煤で造る墨という違いがあり、松煙墨の採煙は、松ヤニの出る部分を小割りにして乾燥させた後、部屋の中で燃やして、壁や天井についた煤を集めて採煙を行います。
    この煤を溶かした膠と混ぜて練り合わせ、香料を入れ、木型に入れて乾燥させて造ります。
    この製法は中国で開発された最も古い製法として古の日本に伝わりました。

    現在は油煙墨が主流となることに加え、良質な松が減少していることから、松煙墨は貴重品として扱われています。

    ― 松煙墨の特徴 ―

    油煙墨とは異なり、墨の磨り口に光沢がなく、古くなるほど黒系から青系に変化していくといわれており、均一でない粒子の煤が淡墨を美しく表現します。
    濃墨では落ち着きのある艶を感じさせない墨色、淡墨では透明感のある美しい墨色が楽しめます。
    松煙墨は古筆の臨書や水墨画などの背景に用いると良い効果が得られるといわれています。

    ■改良煤煙墨とは

    改良煤煙墨は、洋墨煙と呼ばれ、鉱物油・カーボンブラックなどを原料としています。
    比較的実用墨や普及品に多く使用され、松煙墨や油煙墨と比較すると“早く黒くなる”のが特徴ですが、墨本来の「墨は七色に光る」が味わえないところだといえるでしょう。
    改良煤煙墨が松煙墨や油煙墨に劣るというものの、筆や硯の道具を長持ちさせるためには、墨液よりも改良煤煙墨の使用をお薦めします。

    書遊Onlineで人気の油煙墨

    梅花墨

    1. 梅花墨 大 3.0丁型(古梅園)

    菜種油を使った最も粒子の細かい最上級の油煙墨です。 重量感があり、濃墨では純黒、淡墨では薄い紫色を含む黒です。 のびが良く、漢字・かな作品用に最適です。

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    金神仙

    2. 金神仙 1.5丁型(古梅園)

    菜種油を使った最上級の油煙です。濃墨ですと艶のある純黒で、淡墨ですと茶系の黒です。漢字作品用・かな書・写経などに適しています。

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    紅花墨

    3. 五星 紅花墨 5.0丁型(古梅園)

    菜種油を使った油煙墨で、非常にのびが良いのが特徴です。 濃墨ですと絵具に近いような美しい黒、淡墨ですと灰色がかった色です。

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    書遊Onlineで人気の青墨・松煙墨

    利久

    1. 利久 1.5丁型(日本製墨)

    当社製造の他墨の青墨煙に植物性藍を混合し、より青味を加えた松煙墨。書家・画家の好みを生かして調整した極上濃青墨です。

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    青龍胎

    2. 青龍胎 1.5丁型(墨運堂)

    塗り重ねができて光らず、濃淡が自在に表現でき、奥行が深く、墨色に距離感のある立体的な画に適しています。 絵手紙や水墨画の練習用におすすめです。

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    蓬莱

    3. 蓬莱 2.0丁型(古梅園)

    400有余年にわたる墨作りを通して開発された青墨に向く油煙で作られた、煤だけの色の青墨です。淡墨では灰色がやや強く、青みのかかった色で、どんよりとした重さが感じられ、水墨画・俳画などに適しています。

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    まとめ

    墨の原料と種類についてご紹介いたしました。
    墨は、「煤(すす)」、「膠(にかわ)」、「香料」の3つの原料から作られ、煤の種類によって「油煙墨」「松煙墨」「改良煤煙墨」に分けられます。
    それぞれ墨色に特徴がありますので、作りたい作品に合わせて種類をお選びくださいませ。

    書遊Onlineでご紹介している『墨』はこちら»

  • 「興福寺二諦坊 古式墨鉄型」で造る墨

    「興福寺二諦坊 古式墨鉄型」で造る墨

    室町時代の古式墨鉄型で作る「至高の墨」

    この度、書遊Onlineでは、新しい「令和年号」と「奈良墨の伝統的工芸品指定」を記念し、当社秘蔵の約680年前(室町時代)の「鉄製の墨型」を用いて漆墨(最高級菜種油煙墨)を製造いたしました。
    現在の墨造りは油煙墨が主流ですが、平安時代までは松脂を含む松の木を燃やして採取した松煙から造る松煙墨が製造されていたとされ、油煙墨は鎌倉時代に製造を開始、室町時代に奈良の地で確立したとされています。

    約680年前、時を超えた「鉄製の墨型」

    この室町時代に奈良興福寺二諦坊で墨造りに用いられたとされる約680年前の「鉄製の墨型」が、大日本製墨株式会社の時代より当社に代々受け継がれており、この度令和元号記念墨として当時の墨を最高の材料と最高の技術で復元いたしました。
    墨の製造は、奈良墨 老舗古梅園のご協力により当社秘蔵の「古式鉄型」を用い、独自に採取された「最高級菜種油の油煙」と現在では幻と呼ばれる至高の膠「阿膠」を掛け合わせて「至高の墨」の完成が実現しています。

    最高級菜種油から採取した最高の「煤」

    古梅園では独自の採煙蔵で最高級菜種油を土器に入れ、藺草(いぐさ)で作る灯芯に火をともし、土器の覆いをかぶせてその内側についた煤煙を採る昔ながらの方法で採煤されています。
    火が灯される灯芯は200本。炎の大きさや油の種類で煤の質が決まるため、常に熟練の職人が張り付き、200の揺れる炎の煤のつき方が偏らないよう、土器を20分おきに回し、火の加減や油の量にも気を遣いながら繊細な作業が均一に管理されています。

    煤にもこだわった究極の墨造り

    煤の優劣は、灯芯(藺草の皮をはいで取り出した芯を結ったもの)の太さや油の種類によって決められますが、粒子の細かな上質な煤を得るためには、元々4段階に作り分けられる内の最も特別な高級品にのみ使用される灯芯( 太さ5~6㎜ )が使用されています。
    灯芯を結うだけで1~2年の修業が必要といわれるほど灯芯作りは難しく、固く細く巻くほどに粒子が細かく質の良い煤が得られ、墨色に厚みが出るといわれており、こうした技と時間と手間を掛けて採煙されたキメ細かな粒子の最高級の煤から「至高の墨」が造られました。

    幻と呼ばれる究極の膠「阿膠」

    墨造りにおける 膠(にかわ)の役割は極めて重要で、墨の成形・粘度調節・煤の定着に加え、墨色や伸びに大きな影響を及ぼします。
    日本の墨に使用される膠は、牛・馬などの動物の皮や骨を煮込んで得られる膠を使用しますが、この「至高の墨」には最高級で幻とされる 「阿膠」 を使用いたしました。
    膠の断面が特に美しい、トロミがあり透明感のある類を見ない高品質な膠です。

    阿膠 (あきょう) とは

    古来より膠産地として名高い中国山東省東阿県産の黒驢馬から採取されたもので、古梅園が代々受け継がれてきた限りある在庫を切り崩し、この度の「至高の墨」造りに用いていただきました。

    奈良墨の神髄 古梅園が創る「至高の墨」

    室町末期に造墨家として創業した古梅園。
    製墨法が最も発展した江戸時代、古梅園は幕府の許可を得ながら、中国の造墨家との交流、研究を重ねより一層品質の良い墨をつくるようになり、その技は今もなお引き継がれています。440余年を経て培われた伝統の技と製法は、奈良墨の神髄ともいえます。

    代々継承した秘伝で造る墨

    採煙から配合、練り、乾燥、墨づくりのすべての工程において、昔ながらの製法で造り続ける古梅園。
    全国でも「煤採り」から墨を製造しているのは古梅園のみ、まさに唯一無二の存在です。
    気の遠くなるような手間暇は、本物という一級品を製造するための妥協を許さない姿勢の表れです。

    多くの作家から支持される古梅園の墨

    これだけの工程を経て造り上げられた墨は、作家の期待を決して裏切らない確かな製品ばかり。
    プライドを掛けて造られた製品は、墨を磨る水の準備から始まり、気温・湿度にまで気を配り、墨の磨り方、硯の合わせ方、紙の吟味…と作家の制作意欲をかきたてます。
    「墨液」なる便利なものを利用する人が年々増える中、「墨」にしか出せない理想の墨色を求められる、本物を愛してやまない作家から絶大な信頼を得ています。

    室町時代の墨を蘇らせる「南都墨原始二諦坊古式」の墨型

    南都・奈良時代より興福寺二諦坊において、仏様にお供える灯明から出る煙煤を用いて墨が造られたといわれており、当時主流であった松煙採煤から油煙採煤へと移行、確立したのが室町時代とされています。
    その中心にあったのが「興福寺二諦坊」。興福寺で造られた油煙墨は、これまで造られていた松煙墨とは墨色、艶、磨り心地など品質で圧倒的に優位に立ち、全国にその名を轟かせ、江戸時代には「奈良と言えば南都油煙」といわれるまでになったとされています。

    その当時、興福寺二諦坊で造られた油煙墨の墨型(鉄製)が、この度の「至高の墨」で使用した室町時代に興福寺二諦坊で実際用いられていたとされる約680年もの時を超えた墨型で、当時の姿を留めたまま現存する「南都墨原始二諦坊古式(鉄製)」の墨型は、唯一無二といわれています。

    「奈良墨」として初めての伝統工芸品

    平成30年に日本伝統的工芸品に認定された奈良墨の「初めての伝統的工芸品」として、「至高の墨」を発売いたします。
    最高級の素材と最高の技術、そして680年という時を経て造られる「至高の墨」は、豊かさと潤いを与える工芸品としてもお愉しみいただけます。

    令和の元号を記念した墨

    「至高の墨」の企画は、令和元号の記念に最高の墨を造りたいという想いから、日本製墨書遊が企画し古梅園様に製造を担っていただきました。
    680年の時を経て現在に蘇った鉄の墨型と最高の材料と最高の技術で生み出したこの記念墨は、熟練職人も納得の仕上がりで、極めて密度が高く、驚くほどに滑らかな磨り心地をお愉しみいただける逸品中の逸品に仕上がりました。

    選りすぐりの素材と製法で作る至高の墨、書遊Online限定25丁販売。

    室町時代に興福寺二諦坊で使われていた唯一無二の墨型、最高の煤と最高の膠、創業440余年の墨造りの老舗「古梅園」の技術を結集して完成した逸品中の逸品。
    「令和年号」と「奈良墨の伝統的工芸品指定」の記念墨として、書遊Online企画墨として25丁のみの限定販売を行います。

    古式墨 鉄製の墨型

    今から約680年前の室町時代に作られた日本で1つしかないと言われる非常に希少価値の高い墨型。

    至高の素材「阿膠」

    極わずかな墨にしか使われない高級膠である阿膠、高級煤の油煙で作る贅沢な墨。

    墨造りの神髄「古梅園製」

    創業400年、室町時代から培ってきた技術と製法で多くの作家から支持されてきた墨造りの老舗。

    興福寺二諦坊古式墨 1.3丁型

    用途
    あらゆる書画に向く
    サイズ
    約86×21×15 mm / 箱:183×117×40 mm
    分類
    最高級油煙墨
    墨色
    濃墨:艶のある純黒/淡墨:美しい茶系の黒。
    価格(税込)
    77,000円

    最高級の煤と膠を用い、最高の技術で製造した当製品は、密度の高い仕上りで、驚くほどに滑らかな磨り心地をお愉しみいただける仕上りです。

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  • 奈良のかわいいお土産

    奈良のかわいいお土産

    あまり知られていませんが、奈良は墨と筆発祥の地。
    正倉院にも古代の筆や墨が保存されています。

    そんな歴史ある奈良のメーカーだからこそ作る事ができた商品が沢山あります。

    今回は行楽シーズンにあわせて、「古代時代の墨」を再現した商品や神事に使われていた「縁起の良い筆」など、可愛いお土産やプレゼントにぴったりの商品を紹介します。

    大和・墨人形 -墨運堂-

    1200年以上前、奈良のいや古大路を歩いていたであろう官吏、官女をモデルとして戦前まで作られていた人形墨です。
    人形が着ている衣装の色も鮮やかで、奈良の都を思い起こさせる色合わせです。

    ほっこりする表情も可愛いですよね。

    顔や衣装、すべて手塗りのため一つとして同じものはありません。飾って楽しむのもおすすめです。

    過去の墨を再現した古代墨1.7丁型 -墨運堂-

    正倉院に保存されている墨は全部で15挺、すべてこのような舟形をしています。
    また、奈良で発掘された墨も同様の形をしていたため、当時墨と言えば舟形をしていたと推測されています。

    こうした古代人のロマンを秘めた形を復元した商品がこちら。

    「昔は墨は舟形をしていたから1挺と数えると言われているようだよ」と土産話とともにプレゼントしていてみてはいかがでしょうか。

    東大寺鴟尾墨 -呉竹-

    奈良東大寺の金色の鴟尾(しび)のモチーフがとってもカッコ良い、人気の墨です。
    鴟尾(しび)は飛鳥時代・奈良時代の瓦の伝来に伴い、飛鳥時代に中国唐から伝わったとされる屋根の飾りです。

    室町時代には鯱(しゃちほこ)に変わっていくため、奈良時代ならではの形ですね。

    火除けのまじないの意味もこめられていると云われている縁起の良いモチーフは贈り物にもおすすめです。

    奈良人形墨セット -呉竹-

    奈良の伝統工芸「一刀彫り人形」の立雛が、何と墨で作られています。
    一つ一つ手で彩色された着物のの柄もとても華やかです。

    高さ12~15㎝のペアの人形はひな祭りの時期お部屋に飾っても素敵なインテリアになります。

    奈良のお土産として、ぜひおすすめしたい商品です。

  • 墨の継ぎ方

    墨の継ぎ方

    固型墨を日々磨り続けていると、だんだん小さく減っていき、手で握るのも難しくなってきます。
    短くなった墨は、「墨ばさみを使って磨る方法」と「墨と墨を継いで磨る方法」があります。
    職人さんが一丁一丁丁寧に手造りされてできた墨。小さくなってしまった墨も最後まで大切に使いきりたいものです。
    それでは意外と簡単にできるおすすめの「墨の継ぎ方」をご紹介します。
    小さくなった墨や折れてしまった墨でお困りの方はぜひ、この方法を試してみてください。
     

    墨は墨で継ぐ

    接着剤も市販されていますが、墨以外の成分で墨を継ぐのはちょっと心配になりますよね。
    墨の接着は接着剤を使わなくてもできるんです。
    墨は「膠(にかわ)」と「煤(すす)」と「香料(こうりょう)」からできています。
    この中の原材料のひとつである「膠(にかわ)」が、墨を固めるための接着剤の役割りを果たしています。
    そのため、濃く濃くネバネバになるまで磨った墨を継ぎたい墨同士に塗ることで、墨の品質や墨色を変えることなく安心して墨継を行うことができます。
     

    継ぎ方

    ①小さくなった墨を用意します。
    接着する接着面には、事前にぬるま湯に3分~5分程度浸けておくと良いでしょう。

    ②継ぎたい墨を両方とも墨の磨り口が平になるまで磨ります。
    折れてしまった墨の場合も同じですが、凸凹した面を平にするにはちょっと根気がいりますね。

    ③接着剤の役割となる濃い墨を作ります。
    ②で磨った墨を少量用意し、さらに継ぎたい墨で超高濃度の墨液を作ります。
    ここで磨る墨の濃度が接着力を左右しますので、墨はできる限り濃く、ドロドロからネバネバになるまで磨ってください。
    〈磨り始め〉

    〈ネバネバ状態〉

    ④ネバネバになるまで磨った墨を、②で平らにしておいた墨の磨り口に浸けます。
    あまりつけ過ぎる必要はありませんが、磨り口にまんべんなくつけましょう。

    ⑤接着面同士を合わせて、接着します。
    ズレないように注意し、両手でギューっと圧力をかけて、ふたつの墨を圧着します。
    できれば1分程度圧力をかけてください。
    接着部分の墨は乾くとやや縮まりますので、ここでは接着部分から墨がはみ出していても構いません。
    圧着した後、接着した周囲に接着に使ったドロドロの墨を筆や指で塗ります。

    ⑥接着部分が十分に乾くまで、自然乾燥させます。
    小さいものでも、芯のほうまで乾かすためには数日かかりますので、3日間は乾かしましょう。

    これで墨継ぎの完成です。

    お手元の小さくなった墨をどんどんくっつけていただき、ぜひ最後まで大切にお使いください。

     

    墨専用の接着剤を使う

    忙しくて時間がないときには、墨専用の接着剤を使って墨を継ぐのも一つです。
    手軽にできる墨専用の接着剤も販売していますので、必要に応じてお選びください。

  • 墨の磨り方

    墨の磨り方

    実は間違ってた?書道のプロが教える、本当の墨の磨り方

    書道を嗜む皆さん、「墨を磨る」という行為、どう感じていますか?
    「時間がかかって面倒くさい」「手が汚れるし、結局は市販の墨液で十分」…そう感じて、最近は固形墨から遠ざかっている方も多いのではないでしょうか。

    もし、その「面倒くささ」が、実はあなたの「墨の磨り方」が間違っているせいだとしたら?
    この記事では、多くの人が知らない、あるいは誤解している墨の磨り方の常識を覆します。
    たった5分で、驚くほど質の高い、自分好みの墨液を自在に作れるようになる「目からウロコの秘訣」をご紹介します。
    これを読めば、墨を磨る時間が、面倒な準備作業から創造的な楽しいひとときに変わるはずです。

    一般的な「あの方法」はなぜダメなのか?

    おそらく多くの人が、学校の書道の授業などでこう習ったのではないでしょうか。
    まず、硯のくぼんだ部分(海)に水をたっぷり入れ、そこから平らな部分(丘)に少しずつ水を移して墨を磨り、濃くなったらまた海に戻す。そしてまた丘に水を上げて…という繰り返し。
    一見、理にかなっているように思えるこの方法ですが、実は非常に非効率的です。
    専門的な視点から見ると、この方法には主に3つの大きな問題点があります。

    • 時間がかかりすぎる 硯の海にある全体の水を、均一な濃さにするには、途方もない時間がかかってしまいます。非常に効率が悪い方法と言わざるを得ません。
    • 「面倒くさい」という気持ちになりやすい 時間がかかるということは、それだけ手間もかかるということです。結果として、「墨を磨るのは面倒だ」というネガティブな感情が生まれ、書道そのものから足が遠のく原因にもなりかねません。
    • 墨が持つ本来の良さを引き出せない このやり方では、墨が持つ本来の美しい発色や伸び、香りのようなポテンシャルを最大限に引き出すことができません。せっかくの良い墨も、これでは宝の持ち腐れです。

    つまり、この方法は水を主体に考えすぎているため、肝心の墨の粒子を効率よく水中に分散させることができないのです。
    本記事で、「本当の墨の磨り方」をご紹介しますので、ぜひご参考ください。

    新常識!正しい墨の磨り方

    ①水は「500円玉大」から始める。
    では、正しい方法とは一体どのようなものでしょうか。ここからが本題です。
    まず、硯の丘(墨を磨る平らな部分)に水を垂らします。この時の水の量が、最も重要な「ミソ」です。硯の海が満たされるほどの水は全く必要ありません。必要なのは、500円玉くらいの大きさのごく少量の水だけです。
    そう、たったこれだけでいいのです。このごく少量の水から始めることが、短時間で濃厚な墨を作るための最大の秘訣です。

    ②ネバネバになるまで約5分、ひたすら濃く磨る。
    500円玉大の水を垂らしたら、あとはひたすら磨っていきます。ここでの目標は、墨がネバネバの状態になるまで、とにかく濃く、濃く磨り続けることです。
    水の量が少ないため、驚くほど短時間で墨は濃くなっていきます。この作業にかかる時間は、わずか5分程度。今まで何十分もかかっていたのが嘘のように感じるはずです。
    ちなみに、磨り方について「『の』の字に磨るのが良い」「いや、縦に磨るべきだ」など様々な説がありますが、どちらの方法でも全く問題ありません。ご自身がやりやすい方法で、とにかく濃くすることに集中してください。

    ③墨の香りが「フワッ」としたら完成のサイン。
    「ネバネバになるまで」と言われても、どのタイミングで止めればいいのか分かりにくいですよね。実は、その完璧なタイミングを、墨自身が教えてくれるサインがあります。それは「香り」です。
    無心で墨を磨り続けていると、ある瞬間、墨に含まれている香料の香りが「フワッ」と立ち上ってくるのを感じる時が来ます。これこそが、墨が「もう十分だよ」と私たちに語りかけてくれているサインなのです。
    道具と対話し、五感で完成を感じ取る。これこそが、墨を磨る行為の醍醐味の一つと言えるでしょう。

    ④発想を逆転させる。「濃縮液」を作ってから薄める
    さて、香りのサインを受け取り、丘の上には「超超超濃墨」とも言える、粘度の高い墨の原液が完成しました。もちろん、このままでは濃すぎて文字は書けません。
    ここから、硯の海に少しずつ水を加え、この濃縮された墨を溶きながら、自分の書きたい作品に合わせた好みの濃度に調整していきます。

    この方法の核心は、発想の逆転にあります。
    「最初からだんだん濃くしていく、という方法ではありません。最初に、とにかく濃い、超濃厚の墨の原液を作ってしまう。そこから水で薄めて、好みの墨液を作る。全くの逆の方法ですね。これが、正しい墨の磨り方なんです。」
    つまり、「薄い状態から少しずつ濃くしていく」のではなく、「最初に極限まで濃い原液を作り、そこから水で薄めて調整する」のが正解なのです。絵の具を水で溶くのと同じで、まず「原液」ありき、と考えるのがコツです。


    ただし、水を加える際は注意が必要です。一気にたくさんの水を入れてしまうと、せっかく作った濃墨が一気に薄くなりすぎてしまいます。少しずつ、慎重に水を加えながら、最適な濃度を探っていきましょう。

     

    ⑤磨り終えた墨は磨り口の水分を布や紙などで丁寧に拭き取り、手入れしてからきちんと桐箱に入れて保管しましょう。

    墨を磨る「本当の楽しさ」を再発見しよう

    今回ご紹介した方法は、これまでの常識とは全く逆のアプローチだったかもしれません。しかし、この方法を一度試していただければ、その効率の良さと仕上がりの質の高さに驚くはずです。
    この手順さえ守れば、もう墨磨りに時間や労力をかける必要はありません。淡墨から濃墨まで、自分の表現に合わせた墨色を、短時間で自由自在に作り出すことができます。
    「墨を磨る」という行為は、単なる書くための準備作業ではありません。自分の作品に最適な墨を作り出す、創造的なプロセスそのものです。
    今まで面倒だと思っていた墨磨り、少し試してみたくなりませんか?この方法なら、墨を磨る時間そのものが、作品作りの一部として心から楽しめるはずです。ぜひ、墨との対話を楽しんでみてください。

    墨の動かし方

    墨を磨る方法としては、大きく分けて2種類あります。

    A:「の」を描くように円を描くような感じで磨る方法

    円を描くように磨るこの方法は、自然に力が抜けるといわれる反面、硯に墨カスが溜まりやすいと言われます。

    B:「N」を描くように直線的な感じで磨る方法

    直線的に磨る方法は、力が入りやすくなる反面、硯に墨のカスが溜まりにくいと言われています。

    直線的に磨る方が墨の真色を出すといわれることもありますが、どちらが正しいとは言えません。
    ご自身の動かしやすい方で磨ることが大切です。

    墨の持ち方

    墨を硯にあてる角度はどの角度が良いのか、実際のところはどうなのか疑問に持つ方もおられるのではないでしょうか。
    墨の持ち方も大きく分けて2種類あります。硯との接地角度が垂直の場合と斜めの場合です。

    時間がないから早く墨を磨りたいという場合には、墨と硯との接地面積を広くすることが重要になってきます。磨り口が大きくなれば、結果早く磨れることに繋がるのです。

    A:墨を真っすぐ立てる持ち方

    墨を硯面に対して垂直に接地させて立て、磨り口を平にする方法です。
    磨り口の大きさはずっと同じままですが、磨り始めの硯との接地面積はBと比べて大きいです。

    〈磨り口を平らにする〉

    B:墨を斜めにする持ち方

    墨を硯面に対して斜めに接地させる持ち方です。表裏を交互に磨ることにより、磨り口をV字型にする方法と片側だけを磨り磨り口を鋭角にする方法があります。磨り始めの硯との接地面積は小さいですが、磨ることで徐々に広がっていき鋭角になると最も面積は大きくなります。

    〈磨り口をV字型にする〉

     

    〈磨り口を鋭角にする〉

    墨の持ち方を3つご紹介しましたが、この中のどの方法を選んでいただいても構いません。
    墨の持ち方によって墨色が変わるということはほとんど考えられませんが、

    ご自身が磨りやすい方法を選んで、上手に磨ることが大切です。

    墨を早く磨る方法

    忙しい現代人としては、墨が早く磨れるにこしたことはないでしょう。
    では、墨を早く磨るにはどうすれば良いのでしょうか…?その答えはいたってシンプル。

    墨と硯の接地面積を広くすることです。最も墨を早く磨るという点では、墨の持ち方B(墨を斜めに持ち片側だけを鋭角に磨る方法)がおすすめです。完全な斜めになるまで時間は掛かるかもしれませんが、硯との接地面積が広くなれば、結果早く磨れることになります。

    大きな硯に墨を2~3本重ね合わせて磨れば、硯との接地面積が広くなり早く磨ることができる方法もありますが、あまり現実的ではありません。

    時間がない場合には、墨を磨ってくれる「墨磨り機」を使う方法もおすすめです。
    大作を書くためにたくさんの墨が必要なんていう場合にも墨磨り機をお使いいただけます。

  • 日本の墨の歴史

    日本の墨の歴史

    墨の日本への伝来と日本の墨の歴史

    日本への墨の伝来は、一説に文字の伝来と同時期であるといわれています。
    「漢倭奴王国」の金印の示すように、漢の国ではその折に文字や墨書を知ったと思われ、『魏志倭人伝』に239年に卑弥呼が、魏の洛陽に送った使者に親書を持たせ、『晋書』・ 『宋書』には倭の五王(讃・珍・済・興・武)も親書を持たせたとあるように、この頃に十分に筆・墨の存在も考えることができます。しかしながらこれらはあくまでも一説に過ぎず、詳しいことはわかっていません。

    『日本書紀』に 「推古天皇18年(610年) の春3月 高麗の王は僧 曇微(飛鳥時代の高句麗の僧侶) と法定を貢上し、曇微は五経を知り、且つ能く彩色及び紙墨を作る」 とあり、この文献が日本の墨について記した最古のものと思われ、聖徳太子が 『 法華経義疎 』を書いた時には、この曇微の持参した松煙墨が使用され、 飛鳥の都跡から発見された 円硯 の断片から、当時はすでに硯で墨を磨っていたこともわかっています。

    聖徳太子没後の律令政治の実施に伴い、701年大宝律令が制定された政治機構の中で中務省が製墨をつかさどり、墨は貴重品として扱われ、仏教の繁栄に伴った写経用の墨として需要が高まっていきました。
    平安時代になると、墨は大量に生産されるようになり(松煙墨)、一般にも浸透していったといわれています。
    以後高まる墨の需要に伴い、それまでは松煙墨しか存在しなかった時代に先駆けて油煙墨の開発を行ったのは日本でした。

    平安時代に普及した、松煙墨の大量生産と同時期に油煙墨の研究・開発を進め、墨の変遷過渡期を迎えていったと思われます。
    平安時代末期には、日宋貿易も盛んになり、水墨画の伝来や禅僧の墨蹟の隆盛により、日本でも数多くの能書家が誕生し更に墨の需要は高まっていきました。



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