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書作品に欠かせないアイテム、印泥。
印泥が固まってしまったとき、ゆるくベタベタになってしまったときの復活方法や、日々のお手入れ方法についてご紹介いたします。
印泥とは
印泥は、辰砂(硫化第二水銀)を主原料に、「もぐさ」と呼ばれる植物の繊維と油を混ぜて作られていると言われています。
印泥は中国で作られ、それぞれの職人が秘伝として継承しているため、詳細はわからないのです。
「上海西冷印社」の印泥が有名です。
辰砂(硫化第二水銀)は体に有毒なので、誤って口に入れないように注意してください。
■ 印泥の使い方はこちら>>
印泥が固まってしまったとき
長期間使わなかったり、温度の低い場所で保管していたりすると、印泥が固くなって印に印泥がうまくつかなくなることがあります。
表面だけが固まっている場合
表面だけが乾燥して固くなっている場合は、底からしっかり混ぜて、表面の固い部分と中のほうのやわらかい部分を混ぜ合わせてください。
このとき金属のへら等を少しあたためて使うとより混ぜやすくなります。
全体が固まっている場合
印泥をあたためると、やわらかくなります。
少しずつ様子を見ながらあたためてください。
このとき金属のへら等を少しあたためて使うと、より混ぜやすくなります。
対処方法を4つご紹介いたします。
1. 暖房器具の近くに置き、ゆっくりあたためる
2. 容器の底に遠くからドライヤーの温風をあてる
3. 印泥をナイロン袋(耐熱)に入れ湯煎(ぬるま湯)であたためる
印泥を容器から取り出し、ナイロン袋(耐熱)に入れます。袋の口を縛り、袋ごとぬるま湯につけます。
やわらかくなったら、袋の上から軽くもむように混ぜます。
混ざったら容器に戻してください。
4. 印泥用の油を混ぜる
印泥専用の油が売っていますので、それを少し混ぜていただくとやわらかくなります。
ひまし油や、半固体のグリース油がお使いいただけますが、印泥メーカーが発売している専用の油のほうが安心です。
※弊社Onlineショップでは取り扱いはございません。
印泥がベタベタになってしまったとき
夏の暑い時期は、ゆるくなったり、油が分離してベタベタになったりしやすくなります。
対処方法を2つご紹介いたします。
1. 手ぬぐいやさらしなどで表面の油分を取る
手ぬぐいやさらしで印泥の表面をとんとんと優しくたたき、油分をふき取ってください。
印泥のサイズに切った手ぬぐいやさらしを印泥の上にのせて一晩おいておくのも効果的です。
印泥の油分が分離してベタベタになっている場合、そのまま作品に押されますと、少し経ってから印の周囲に油がにじみ出る場合があります。
印泥の染み出した油分はできるだけ吸い取ってからご使用ください。
2. 冷蔵庫で少し冷やす
冷蔵庫で少しの間冷やしてからよく混ぜてお使いください。
様子を見ながら少しずつ冷やしてください。
日々のお手入れと、印泥の保管で気を付けたいこと
印泥は使うたびにしっかりと練り混ぜてください。
長期間使わない場合も、月に1度程度は混ぜていただくと、固まったり、油が分離してベタベタになったりするのを防ぐことができます。
印泥を保管するときは、陶器の容器のふたをし付属の箱に入れて保管してください。
印泥は、暑いとベタベタになってしまい、寒いと固まってしまいます。
適度な温度の場所で保管していただくのがおすすめです。
印泥の容器(印合)はなぜ陶器が多いの?
印泥は、そのままだと印泥に含まれる油が蒸発しやすいのですが、陶器は油の蒸発を抑える効果が高いことから印合によく使われます。
また、桐箱が付属していることもありますが、桐箱は中の湿度を一定に保とうとする働きがあり、印泥を長持ちさせる効果があります。
有害な重金属を一切含まない「七宝印泥」
「七宝印泥」は有害な重金属を一切含まない有機・無機顔料を用い、昔ながらの製法で作られたオーガニックな印泥です。
人にも地球にもやさしい、環境に配慮した安心・安全な印泥としてご利用いただけます。
硬くならず目詰まりしにくい高級もぐさと良質な油を使っているため、印泥がかたくなったり、油分が分離してしまったり、というトラブルが少ないのが特徴です。
また、使用時にほのかに香る白檀の香りが心を整えます。
まとめ
印泥の豆知識をご紹介いたしました。
印泥を長くお使いいただくためには日々のお手入れが欠かせません。
使うたびにしっかり混ぜることと、長期間使わない場合も月に1度は混ぜるようにしてください。
固くなったり、ゆるくなってベタベタになったりした場合は、さきほどご紹介しました方法をお試しください。