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墨液(液体墨、墨汁)には使用期限があります
磨らずにすぐ使えて便利な墨液ですが、使用期限があるので注意が必要です。
目安としては、墨液は1年以内に使い切ると良いでしょう。
使用期限はおよそ2年程度。
未開封であれば、保存環境や種類にもよりますが3年~5年程度は大丈夫だと言われています。
開封後は劣化が進んでしまいますので、できるだけ早くお使いください。
開封後は、1週間に1度定期的に容器を振ると劣化を遅らせることができると言われています。
原材料による違い
墨液には、膠(ニカワ)を使用した「膠系」と、合成樹脂を使用した「樹脂系」の二種類があります。
それぞれ特徴がありますが、「膠系」の墨液は固形墨の表現力に近い表現が可能な商品もある一方で、使用期限は「樹脂系」よりも短いとされています。
-膠系墨液の特徴-
1. 墨本来の自然な墨色を得ることが出来る。
2. 墨本来の墨の伸びを得ることが出来る。
3. 液状態を保つため膠の固まる性質を抑える 「塩分」が含まれており、表具を行うまでの乾燥期間として約1週間必要。
4. 使用期限が短い。
▼ 膠系墨液『凛』
-樹脂系墨液の特徴-
1. 表具の際、ニジミの発生する可能性が低い。
2. 力強さを表現しやすい。
3. 墨本来の自然な墨色や伸びを得ることが難しい。
4. 使用期限が膠系に比べて長い。
▼ 樹脂系墨液『玄宗』
墨液でやってはいけない3つのこと
墨液の品質を保つため、墨液を使う際に特に避けていただきたいことが3つございます。
・硯に出した墨液を元の容器に戻す ×
・樹脂系の墨液と、膠系の墨液や固形墨で磨った墨を混ぜる ×
・直射日光、高温、多湿の環境下で保存する ×
硯に出した墨液を元の容器に戻す ×
墨液は、空気に触れると劣化が進みます。
そのため一度出した墨液を容器に戻してしまうと、容器の中の墨液全体で劣化が進んでしまうことになります。
また、水で薄めた墨液を容器に戻してしまうとより劣化が早まります。
樹脂系の墨液と、膠系の墨液や固形墨で磨った墨を混ぜる ×
お好みの墨色を出すため、墨を混ぜるという場合もあるかと思います。
膠系同士なら混ぜてご使用いただけますが、樹脂系と膠系を混ぜることはできません。
膠系墨液と、同じ膠系の固形墨の磨り墨を混ぜて使う際、濃墨の場合は粒子が沈殿してしまうことがありますので少量ずつお試しください。
直射日光、高温、多湿の環境下で保存する ×
直射日光、高温、多湿の環境下では墨液の劣化を早めます。
特に最近は7月8月の最高気温が35℃を超える日が多くなっており、真夏は墨液を冷蔵庫で保存するという方もいらっしゃいます。(※冷凍庫は厳禁)
ただし、あまりに冷やしすぎると墨液が凝固してしまいますので適温を心がけましょう。
墨液が劣化すると…
腐敗するとドロドロとした墨液になります。
防腐剤が入っている墨液だとそこまで腐敗が進むことはないかと思いますが、書いたときにツヤが無くなったり滲みがうまく出なかったりすることがあります。
見た目やにおいで変化が感じられなくても、表具の際にニジミや変色が起きてしまう可能性があります。
(購入後1年以内に使い切ることをおすすめします)
硯に出した墨液が残ってしまったら
一度容器から出した墨液は、その日のうちに使い切るようにしましょう。
とはいっても、硯に出した墨液がたくさん残ってしまって、そのまま捨てるのはもったいない…というときもあるかと思います。
その際は、フタが付いている硯や墨池に入れてしっかり封をして保管することもできます。
ただしお早目にお使いください。
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まとめ
墨液には使用期限があり、およそ2年程度。
目安としては墨液は1年以内に使い切ると良いでしょう。
開封後は劣化が進んでしまいますので、できるだけ早くお使いください。
一度硯に出した墨液はその日のうちに使い切るように意識していただくと良いかと思います。
もし残ってしまった場合は、墨液の容器に戻さず、封ができる別の容器に入れて保管するようにしましょう。